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contemporary sculpture
2000 | works

幸福論一号   Happy theory No. 1


幸福論一号
2000
ステンレス、鉄、 ガラス繊維強化プラスチック、塩化ビニル、ゴム、電球、フェイクファー
w880mm h1200mm d1150mm

Happy theory No. 1
2000
H1200 W1150 D880 mm
stainless steel, iron, fiberglass reinforced plastic,
PVC, rubber, electric bulb, fake fur

 

 

 

 

 

 

現代における不可避的な逃避行を補助する器具

現代は、あまりにストレスフルな社会になってしまった。それを発散することの、手助けのなるような器具が必要なのではないかと思い、その方法として、現実逃避というものについて考えてみました。

はじめに目をつけたのが、幼児期への退行願望です。成年になってからの胎内回帰願望や、幼児期への憧れというのは、人間が基本的に持っている、精神的防衛のための一つの行動です。

もう一つ着眼したのが暴走族です。彼らの行動というのは、現実逃避の象徴的な一例です。青年期、思春期の精神的不安定さを原因としながら、法制上ある意味、優遇されているとも思える扱いを受けながら、心のままに暴走を繰り返す。しかも、期間限定でほとんどの人は、二十歳で卒業していく。

私が考えたのは、それがいいとか悪いとかと言うことではなく、その多くの要素は現代人にとって必要な行動なのではないか、ということです。

この二つの逃避行の要素を組み合わせ、暴走族仕様の三輪車を制作しました。多くの人に乗ってもらい、この現代から受ける、さまざまなストレスを安全な形で発散すれば、社会は円滑に機能するのではないかと思います。

この作品の着想の背景には、多発する少年犯罪がありました。なぜ少年たちが犯罪に走ってしまったのか。子供は社会の鏡です。私には、どうしてもその少年たちを取り巻く社会というものが病
んでいるように思えたのです。学歴偏重主義を押しつけられ続け、それに我慢し、ようやく社会が見渡せるようになっても、失望するような社会しか見えてこない。そんな瞬間に少年は犯罪を犯すのではないか。

社会が変われば、子供は必ず変わります。この作品は社会が変わるための、私なりのワンステップなのです。

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