やまと・並
2002年
H700 W1700 D600 mm
高性能炭素繊維トレカ、
若泉 D.X. 富士型桶 梨地御所車、ステンレス
YAMATO・NAMI
2002
H700 W1700 D600 mm
corbon fiber TORAY CO6343、
Wakaizumi D.X. Fujigataoke Nashijigoshoguruma
stainless steel
精巧になればなるほどに、安価なコピーとして人をだます機能を強めてしまう、性悪的性質を秘めたプラスチック製すし桶。
この製品の7寸(にぎり1人前用)は330円で購入できる。自国のオリジナルの伝統的工芸文化は衰退の一途をたどりながら、そのコピーの技術は精緻を極めていくという日本の狂気性。
その一方、で日常と関係のない、戦闘機やF-1のマテリアルであるカーボンファイバーが高価ではあるが(6500円/m.198g)簡単に入手できてしまう。
伝統技術から先端技術に完全に重心を移行しきった日本。そのことが、身の回りで目に入る、ちょっと気の惹かれた素材からも、リアルに感じられる。
私は、その二つの材料に等価の魅力を感じてしまう。おそらく、この二つにほぼ等価に魅力を感じるということは、ここ日本以外ではあり得ないのだろう。 文化的に脆弱していく自国文化の現状を認め、その要因の一つともなっている、コピー技術の進歩に対し、伝統文化の一般化促進の功績を認め、
感謝する。
先端技術が生む経済性を優先し、シフトしていった日本。それにより豊かになっていったことを実感しこれまた感謝する。
それら事象を象徴する材料を用いて、その恩恵を授かりながら、それらの機能を完全に奪う立体造形、つまり芸術活動を行う私。
矛盾と違和感を感じながらも、そこから与えられるものを、全てなげうってまで、訴えるべき特定の不満を見つけられない。私もきっと、ひどく現代日本的なのだろう。
この日本に対する違和感と肯定の彫刻。